HARRY-San’s 晴釣雨聴

徒然に4月~9月は自然繁殖した野のへら鮒釣り、10月~3月は音楽の事など書き留めています。過去の音楽の記事は検索に「音楽」と入れて一覧を表示してご覧下ださい

フリオ・イグレシアスのタンゴ

アルゼンチンの音楽を続けて・・「タンゴ」

アルゼンチン人の多くはスペイン・イタリアその他のヨーロッパからの移民と、それに次いでメスティーソと呼ばれる白人・インディオの混血が大部分を占めているのが特徴だ。首都ブエノスアイレスの中心は古くて重厚なヨーロッパ風の建物が連なっていて、南米のパリと呼ばれるくらいの街並みだ。因みにアルゼンチンは自国語では「アルヘンティーナ」だ。
と見て来たような話だが、Youtubeの旅行などの映像やGoogleMapのEarthViewで知った(笑)。アースビューは中南米・アフリカ・東欧・発展途上国などの一部に見られない国もあるが、世界のほとんどの街並が都会から田舎まで見られて楽しい。
もともとタンゴが生まれた下町は中部草原地帯(パンパ)から都会へ出てきた人々や、貧しい移民のフラストレーションのはけ口として、ボカ地区の酒場で生まれた踊りといわれ、日頃の不満を歌にし、男性達が娼婦を相手に踊られるようになったとも言われている。
郷愁・失意・やり場のない情熱と言ったものが、踊られるダンスの陰に、いつもあった。それがバンドネオンという楽器の嘆くような音色に象徴され、新たに歌のタンゴを生み出す。(バンドネオンは小型のアコーデオンみたいな楽器で、鍵盤ではなくボタン式で弾く)。アコーデオンやハーモニカのリード楽器は、何かしら心の底の琴線に触れる音色の楽器だといつも思う。

その後タンゴは発展し、歌も失恋だけでは無くすべての感情を表現するようになった。けれども、タンゴの底には、いつも郷愁や失ったものへの憧れ、悲しみがある。それを表した言葉がブラジルの音楽と共通する「Nostalgia~Saudade」である。

ただタンゴは曲と踊りの印象が強く、アルゼンチンでの有名な今時の歌手は少ない。スペイン人のフリオ・イグレシアスもアルゼンチン・タンゴのアルバムを出している。彼もスペイン系で初めて、レコード・セールスだけでも何億枚の世界的な歌手となったのは、ご存知の通り。変わっている経歴については次回にでも。

●タンゴの名曲:VOLVER:ヴォルヴェール「帰郷」 カルロス・ガルデル作曲
1997年ブエノスアイレスの南西390kmに位置する港湾都市Mar Del Plata スタディアムでの観客8万人のライブ、と出ている。
バンドネオンが少しだけ入っている。冒頭に「我が懐かしのブエノスアイレス」の一部が流れている)


VOLVER:「帰郷」の日本語訳(長いのでサビ部分のみ)

ヴォルヴェール帰郷する・・・ 額にはしわが刻まれ  
時の雪が私のこめかみを銀色にした

感じる・・・ 人生は風のひと吹きだと 20年は無だと
熱に浮かされた視線が  影のあいだをさまよい
君の姿を求め  君の名を呼ぶ 

生きて行く・・・ 甘い思い出に とりすがる魂
その思い出にふたたび泣きながら


私がフリオ・イグレシアスの歌を初めて聴いたのは、札幌の地下鉄大通駅からススキノへ続く地下街ポールタウンの通路で流れているBGMに気を惹かれた。確か30代後半だったかな?今まで聴いた事のない歌手だし、アレンジ・歌も斬新だし、興味をもって調べたら、その時ヨーロッパで大人気で、日本でも出たばかりの「ビギン・ザ・ビギン/C・ポーター作」だった。と思ったがロシア民謡を下地の「黒い瞳のナタリー」だったかもしれない・・なにぶん遥か昔の事なので(笑)。