HARRY-San’s 晴釣雨聴

徒然に4月~9月は自然繁殖した野のへら鮒釣り、10月~3月は音楽の事など書き留めています。過去の音楽の記事は検索に「音楽」と入れて一覧を表示してご覧下ださい

ケイジャン音楽とザディコ

前回に引き続きカントリー・ミュージックの主流では無いが、普通のカントリー・ミュージックと共にルイジアナ州で盛んに演奏されるケイジャン音楽ザディコについて。

ケイジャン音楽Cajun Music)は英仏戦争で1750年代中頃カナダ東岸ノバスコシア州アケーディア(Acadia)を追われて、ルイジアナ州に移住したフランス系移民によって始められたダンス音楽。(その頃ルイジアナは、まだフランスの領土だった)
Cajun とはアケーディアの人Acadianが訛った言葉だ。主にアコーディオンフィドル(バイオリン)を入れたバンドで演奏され、土曜の夜には故郷や先祖を偲び、ジャム・セッションやダンスで日頃の労を癒した。歌詞はフランス語や訛りのある英語のケイジャン・フレンチで歌われることが多い。当初フランス訛りの英語は周りから差別されたので、父母は子供にスランス語を教えなかった。結果は先祖の言語を話せない世代が出たので、英語は当たり前の事だがまた最近フランス語も教え始めた。が、その間のギャップは大きい。
チーチャチャ、チーチャチャのリズムが特徴で、またワルツの曲も多い。
アコーディオンが入ると、何かヨーロッパの風を感じる。

有名なカントリー音楽のハンク・ウイリアムスの曲「JAMBARAYA・ジャンバラヤ」は完全にケイジャン音楽の影響のものだし、JAMBARAYAとはクレオール料理の一種類なのだ。ルイジアナ州におけるクレオール (Louisiana Creole people)とは、1803年のルイジアナ買収によって米国の一部になる前の、フランス領ルイジアナ時代の移住者を先祖に持つ全ての人種及び異人種間の混血の人々、またはこれらの人々の独自の文化とクレオール料理を指すもの。

●Creole Stomp/Savoy Family Band

一方同じルイジアナ州にはケイジャン音楽に影響を受け、またR&Bを取り入れた黒人達が演奏する、ザディコ(Zydeco)という音楽も存在し、これもケイジャン同様アコーディオンがメインの楽器となっているが、ザディコには通常フィドルは入らず、その代わりにパーカッションの役目を果たすウオッシュ・ボード(洗濯板が楽器に変化したもの)が使われる。ケイジャン・ミュージックとザディコはお互い影響を受け合いながら歩んできており、今日では白人・黒人混合のクロスオーバー的なサウンドを狙うアーティストも存在する。ライブでは勿論ダンスが付き物。

● Zydeco a Pas Sale/Jerry Broussand&Creole Cowboys

ルイジアナ州にはニューオーリンズも然りだが、全般にフランス文化が根強く残っている。またアメリカで「一番の幸福度の州」にも選ばれている。
きっと、家族の絆や地域仲間との信頼などが強い州なのかなと思う。

ルイジアナ州は元フランス領であったが、1812年、アメリカ合衆国の州になった。
州内幾つかの都市圏では、多文化、多言語の遺産が残っており、18世紀に領域を支配したフランス(本国およびアケーディア)やスペインの混合文化に強く影響され、また先住民であるインディアンや、奴隷として連れてこられたアフリカ系人々の文化の影響も見られる。19世紀初めにアメリカ合衆国の領土となり、アングロサクソン系のアメリカ人が流入して州に昇格する前に、アメリカ合衆国の他州とは幾分異なった文化が形成され、今日に繋がっている。